被災地復興のための素敵な活動を皆さんで書き込みましょう。旅館が行っている「炊き出し」「風呂開放」「被災者受入」などから、旅館と関係ない活動までOKです。

岩佐十良さんからの応援コメントが届きました。

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岩佐十良(いわさとおる)

(雑誌『自遊人』編集長)

 1967年、東京・池袋生まれ。株式会社自遊人代表取締役で雑誌『自遊人』編集長。
今までに入湯した温泉は約1200湯、訪ねた宿は約3000軒。その取材力を活かしながら"おべんちゃら"ではない、本当の宿取材を続けた連載「覆面取材」が好評。温泉は泉質重視、食事は化学調味料を使わずに、だしをちゃんとひいているかが重要。
2002年、日本の農産物や伝統食材を取り扱う食品販売部門、株式会社自遊人倶楽部(現:株式会社膳)を設立。2004年から事業本部を新潟県南魚沼市に移転。「自らも生産者のはしくれでありたい」という信念から、移転後は「自遊田」という小さな田んぼでスタッフ全員で米づくりを実践。

雑誌 自遊人:http://www.jiyujin.co.jp/magazine/

無添加・有機・オーガニック食材の自遊人:http://www.jiyujin.co.jp/

 

 私のオフィスは新潟県・南魚沼市にあります。
  今日も窓から見える景色は、まるで何ごともなかったようで、新緑は美しく、カエルの声が響き、農家のおじいちゃんは田植えをしています。
  でも、今回の地震でほとんど被害の出ていない新潟でさえ、観光客は激減しています。東北各県の落ち込みは言うまでもありませんが、むしろ二次非難住民の受け入れをしている旅館のほうが経営的にしのげているほどです(国からの補助金が入りますから)。つまり、日本中の観光地が厳しい状況に追い込まれつつあるのです。
  「種」はそんな観光産業をサポートする、わかりやすいシステムです。行きたい宿に前払いする、たったそれだけ。日本中の宿が苦しんでいるのですから、対象は東北に限らず、日本の宿すべてということになります。
  そして、「種」は単純明快な前払いシステムであるのと同時に、もうひとつの目的があると私は感じました。それは、私たち「客」と「宿」との「絆」を深めること。とくに今後、非常に厳しい事態が予測される福島や北関東の宿をどう支援していくのか、その第一歩になると思うのです。
  震災後、私は線量計を持って福島や宮城、岩手、山形、そして北関東の各地を訪れました。目で見る限り、どこの山も雄大で、自然は美しく、川は澄んでいます。何ごともなかったかのような平和な風景がそこにあるわけですが、線量計に表示される数値は平常とは言えないものでした。
  とくに福島、郡山周辺の線量値は高く、会津や北関東の数値も平常値とはかけ離れています。山を見上げ、「あのにごり湯に浸かりたいなぁ」「あの絶景露天に入りたいなぁ」とは思うのですが、けっして「のんびり温泉に」という気分には私自身もなりません。
  今回、丹羽さんから「種」のお話しを伺ったとき、私は「震災の被災者」と「原発事故の被害者」をわけて考えた方がいいですよ、とお話ししました。なぜなら、震災の被災地は時間とともに復興しますが、原発事故の被害地はそう簡単には復興できないからです。
  私は自遊人7月号で「福島のお米について」という文を書きましたが、そこに書いたとおり、福島の農産物はけっして風評被害ではありません。放射性物質の濃度の違いこそあれ、中通りはもちろん、会津の農産物も確実に汚染されています。そして線量計の数字は、むしろ宮城や山形以北の東北地方より、北関東のほうが高かったりします。
  食の安全性は「疑わしきは食べない」ことで保たれてきました。そして現代の旅は「やすらぎを求めて」進化してきました。ともに放射性物質は天敵のようなもので、「微量だから安心」「微量だから気にするな」というものではありません。
  では私たちはどうしたらよいのでしょう。思うに、私は「人を支援すること」しかないように思うのです。福島の農家や旅館の経営者をはじめ、そこに住む人々が今後、何を望むのかはわかりません。移住なのか、表土の入れ替えなのか、金銭的な補償なのか。私は今回の原発事故が水俣病事件に極めて似ていると考えていますが、その水俣病の歴史をふり返れば、今後、数十年にわたって東京電力や政府に対して大規模な訴訟を起こすことも考えられます。
  支援の方法は「その人」の希望次第ですが、だからこそ、誰を応援するか、誰を支援するか、が重要だと思うのです。
  私たちは福島に住んでいる多くの人のうち、ほんのわずかな人しか知りません。でもわずかとはいえ、よく知っている人もいます。
  宿には主人の個性がよく現れています。「あの宿はよかったなぁ」と思った宿の主人とはたいてい相性がいいもので、価値観もあうものです。宿の主人とたとえ話したことがなくても、その人を応援することは間違っていない選択肢だと思います。
  この「種」というプロジェクトはそこにポイントがあると思います。
  観光という観点で復興を考えるとき、宿の主人は重要なキーマンになります。自分の好きな宿に前払いするということは、その主人の活動を応援するよ、という意思表示になります。応援してくれる人が多ければ多いほど、人間、心強いのはあたりまえです。
  さて、福島のことを中心に書きましたが、放射性物質が降下したのは、なにも福島だけではありません。北関東はもちろん、南関東も、南東北も、そして私の住む新潟も。量の大小で言うならば「福島はかわいそうだ」ということになりますが、海外の人々から見れば、東日本のかなり広範囲が被害を受けている地域ということになります。
  私は各地で行われている復興支援やチャリティが、「絆」に変わることを祈っています。そしてこの「種」に期待しています。
  イメージしているものは、価値観の合う人の「結」。広域の「結」です。現実を受け入れ、日本の将来を冷静に考える、そんな「種」になればいいですよね。丹羽さん、そして皆さん。

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このページは、「種」プロジェクトが2011年6月 1日 20:42に書いたブログ記事です。

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