まさか、こんなことになるとは!というのが、日本中の方々の本音ではないでしょうか。正直、くやしい思いもあります。首都圏に住んでいる限り、どこにも行けません。動いてしまえば日本中に迷惑をかけてしまうからです。温泉に行きましょう。テレワークもおすすめです。そう伝えたいのはやまやまですが、宿のことを思うと控えるのが最善だと思うようになりました。目に見えない敵と闘うというのはこういうことなのですね。
しかし、宿に思いを馳せた時、心配の種は尽きません。手元資金はいつまで続くだろうか。融資を受けても返す体力は残っているだろうか。助成金をもらい大切な社員に休んでもらっても、将来戻ってきてくれるだろうか。そういう思いで、休館もせずにのれんを出し続けている宿も少なくありません。今、旅や温泉好きの私たちに何かできることはないでしょうか。
「種プロジェクト」はタビエルこと丹羽さんが、東日本大震災の時に創られた「先払いして、後から宿を訪ねに行く」草の根のシステム。旅や温泉が好きで、この戦争が終わった時には必ず訪ねるからね、そういう思いさえあれば、少し先に支払いを済ませておくことで、皆がハッピーになれると思います。そのころには、政府が旅の半額券を配っているかもしれません。でも本当の旅好きの私たちは、しっかりと宿が残って、笑顔で迎えてくれることを願い、今できることを優先したいと思います。
(事務局 補足)
井門 隆夫
株式会社井門観光研究所代表取締役/高崎経済大学地域政策学部観光政策学科准教授/All About 「旅館」ガイド
旅館業を知りつくした「観光地再生」の仕掛け人
20年の旅行業経験や10年にわたる旅館事業再生の現場を通して見てきた旅館は1,000軒以上。独自の知見とノウハウを持つ「旅館業を知り尽くした観光専門家」。旅館業と地域との連携を通じて、新時代に対応した「地域の仕組みづくり」の実践を支援しています。高崎経済大学地域政策学部観光政策学科准教授。